東京のとあるお屋 敷町に二本の坂がある。 ゆるやかに左にあがるのが日光坂。 右にあがるのが月光坂といい、 その月光坂の一角に見事な庭木の屋敷があり、 ひとはその家を月光坂の花屋敷と呼ぶ。 花に囲まれた屋敷で、 時が動きだす──!
月光坂の花屋敷に暮らすのは、 子どもがいながら男に抱かれるのを好む大人の男と、 その男に片想いする男。 そして、そんな男に恋している少年。 三人の想いが複雑に絡み合いながら、 求めるものは──… 花に囲まれた屋敷で、新しい時間が流れだす。
厳しい父親のもとで育った宙には、とても大切な人がいた。 隣の家に住む年上の幼なじみ、哲弥だ。 どんなときもそばにいてくれた。 でも、宙が成長するにつれ、ふたりの時間は変り始める。 宙が哲弥を意識し始めたとき、哲弥もまた宙に抱いている欲望に気づいてしまう・・・ 宙は俺が守る、そう誓ったはずなのに 甘くせつない恋の物語!
「俺 ずっとてっちゃんと一緒にいたい」 家を飛び出して、幼馴染みの哲弥と暮らし始めた宙。 大好きだった哲弥と想いがつうじ、自然と抱き合うようになる。 大好きなのに、一緒にいたいのに、でも・・・ まだ大人になりきれないふたりは、強すぎる想いにふりまわされて・・・
数年前、宙はこの世で一番大事な存在だった哲弥と別れることを選んだ。 守られるだけの自分から変わるために、 哲弥に哲弥自身を大事にしてもらうために。 未熟な子供から大人になり、 街で歩いても哲弥に似た人をつい探してしまう。 もし、もう一度てっちゃんと逢えたら・・・ そんなとき、偶然ふたりは擦れ違い!? 幾つもの夜を越えたふたりの想いは・・・ 幾千の夜 完結